講演などでご紹介した資料を後で探して頂きやすいよう載せていきます。
論文や資料がweb上に公開されていると、どなたにもすぐ読んでいただけるので、ご紹介しやすく、ありがたいです。
インデントしているところは引用で、太字は私が強調したものです。(H29.9)
◯ 身元保証人がいないことのみを理由としては入院を拒否することはできない
◯ 成年後見人にも医療同意権はない
◯ 「家族」は親族とは限らない
というのがご紹介したいポイントです。
厚生労働省医政局医事課長 平成30年4月27日 医政医発0427第2号「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において 入院を拒否することについて」
リンク1((一社)日本病院会のサイト上のPDF)
リンク2(徳島県のサイト「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」)
医師法(昭和23年法律第201号)第四条第1項において、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と定めている。ここにいう「正当な事由」とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られるのであって、入院による加療が必要であるにもかかわらず、入院に際し、身元保証人等がいないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触する。
神野礼斉「医療行為と家族の同意」(広島法科大学院論集 第12号 2016年)
認知症などのために判断能力が不十分な患者は、自ら医療行為について同意することができず、そのような場合、誰がどのような手続に従って同意することができるのかが問題となる。我が国の法律は、現在、この問題については沈黙している。(P224)
成年後見人に医療同意権はないとされている。現行法上は、「社会通念のほか、緊急性がある場合には緊急避難・緊急事務管理等の一般法理にゆだねることとせざるを得ない」。(P230)
厚生労働省「人生の最終段階における医療の 決定プロセスに関するガイドライン(改訂 平成27年3月)」
(2)患者の意思の確認ができない場合 患者の意思確認ができない場合には、次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。
① 家族が患者の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
② 家族が患者の意思を推定できない場合には、患者にとって何が最善であるかについて家族と十分に話し合い、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
③ 家族がいない場合及び家族が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
終末期医療の決定プロセスの あり方に関する検討会「人生の最終段階における医療の 決定プロセスに関するガイドライン 解説編(改訂 平成27年3月)」
*注10 家族とは、患者が信頼を寄せ、人生の最終段階の患者を支える存在であるという趣旨ですから、法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人を含みます(このガイドラインの他の箇所で使われている意味も同様です)。
日本集中治療医学会・日本救急医学会・日本循環器学会「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3 学会からの提言~」
2. 延命措置への対応
1)終末期と判断した後の対応
患者の意思を良く理解している家族や関係者(以下、家族らという)
(2)患者の意思は確認できないが推定意思がある場合
家族らが患者の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重することを原則とする。
(3)患者の意思が確認できず推定意思も確認できない場合
患者の意思が確認できず、推定意思も確認できない場合には、家族らと十分に話し合い、患者にとって最善の治療方針をとることを基本とする。医療チームは、家族らに現在の状況を繰り返し説明し、意思の決定ができるように支援する。医療チームは家族らに総意としての 意思を確認し対応する。